『堕天使の涙/タランテラ!』
2007年1月14日 宝塚歌劇(舞台) コメント (1)あけましておめでとうございます。
消えたと見せかけて実は生きておりました・・・。
その間に何人か見送ってしまいましたが、ここ最近の舞台で号泣してしまったのは12月帝国劇場の「マリー・アントワネット」だったでしょうか。
今回の日記は、他の日記に書いた観劇録に多少書き加えたものになります。
***********
・ミュージカル・ファンタスティーク『堕天使の涙』
トップのコムちゃんこと朝海ひかるさんにとっては、最後の最後で割かせた大輪の華であったように思いました。
何しろ美しい!
透けるような金糸の髪というものを、人生ではじめて見せていただいたように思います。外人さんのどの美しい金髪を越えて美しいと思わせる様は化粧も決まってまさに堕天使の風情。なんとまあ美しいのか・・・。
正直この美しさだけで元を取れてしまった気分でした。
話としては起承転結の「結」が最後の最後で抜けてしまい、話が中途半端になってしまったことが惜しまれますが、凝りに凝った設定と舞台が全てを引き立てます。
神の愛を求め、応えない神を憎む堕天使のルシファーは、神に愛された人間を堕落させ、復讐と称してあざ笑うけれど、ふと見せる表情や問いかける言葉は子供そのもの。
姿としてはちぐはぐですが、それがかえって彼がかつて天使であったといことを感じさせる佇まいでした。そういう演出だったのかもしれません。
子供のように何故、何故と問いかける姿は、ひたむきに答えを求める利発な少年のようで、その点をこそ、神様は愛したのかもしれないなあと感じてしまいました。
そうしたルシファーの前に現れる、愛と憎しみを裏表に持っている青年ジャン=ポールと盲目の少女リリスとの出会いが、彼の道を僅かに変えていく様までは丁寧に描かれ、時折「キャッ・・・キャー!」となってしまいそうなシーンもありと、盛りだくさんの内容でした。
実はこの話、3列目のSS席で見ながら号泣してしまい、とある方にバッチリその姿を見られてしまいました。
そんな恥ずかしい思いをしてもなお、リリスの「神よ、私は全てを受け入れます」という台詞、そしてルシファーに対する「ありがとう、優しい方。こんな私に会いにきてくださるなんて・・・ありがとう」という言葉を聴いて泣かずにいるのは相当難しいことだったと信じて疑いません。
特に後者、植田先生がきっとここで感動してもらおうと思った(であろう)台詞よりも何よりも、胸に染みる言葉でした。
清らかに美しいリリスとかつて天使であった堕天使が踊る「光のパ・ドゥ・ドゥ」は永遠に心に刻まれたと思います。
美しさが何もかもを消し去る舞台でした。
・レビュー・アラベスク『タランテラ!』
良かったです。
なんというか、私はこの演出の荻田先生の作品がいつも大好きなのですけど、何が好きかというと、とにかく「歌詞」が来るのです。
特に毒蜘蛛「タランテラ(トップスターが今回全場面タランテラとして登場します)」と蝶の恋の場面は美しかった〜!
愛すれば愛するほど、蜘蛛の糸は蝶を絡めとらずにはいられない。蝶はそのことに気がつかず、知らず絡めとられて命を失ってしまう。
「抑えられず喉を鳴らす あさましさ 己の姿に恥じ入り逃げた 昨日」という歌詞にゾクゥ〜!となる私の脳が単に沸いているだけなのかもしれませんが、歌詞を見ただけで色々と想像させるというのは稀有な才能だと思います。
最後は全編蜘蛛を通しきった後、トップスターとして踊り狂う組子を見る顔が切なく美しく、良いサヨナラ公演だなあと思ったのでした。
主演のコムちゃん、毎度毎度立つ姿は素晴らしいものの声音で幾分損をしていたように思いましたが、今回はその声すらも魅力に変えてしまう熱演で、正直最後の最後で惚れそうでした。
彼女が今後どういった道に進むのかはわかりませんが、幸多いものでありますように。
また娘役トップスターのまーちゃんこと舞風りらちゃん。芸名の通り風のように舞う姿、こちらも最後の最後、素晴らしい踊りでした。
芝居では正直「全然出番足りねーよ!」と思いましたけれども、全てを払拭する清らかな笑顔を見ることが出来て嬉しく思います。
可憐で繊細で、娘役らしい娘役さんでした。どうぞこのまま、幸せな道を歩いていってくれますように。
二番手のちかちゃんこと水夏希ちゃんこと水君。
すっ・・・・てき!まさにマンガから抜け出してきたかのような、なんという劇画チックなお顔立ち!なんて素晴らしい佇まい!
その佇まい一つにひきつけられずにいられない私はまるで蟻地獄にはまってしまったようです。
暗い魅力を持つジャン=ポールがあれほどに魅力的だったのは、彼女によるところが大きいのでは。
「愛と憎しみは隣り合わせ、ではこの憎しみも愛なのか」と歌うシーンも感情の発露にぞくりとさせられました。ショーはいわずもがな素敵だった。彼女の今後の時代に心底期待しています。
そのほか私を魅了してやまないえりたん、きむちゃん、かなめ君など、素晴らしい若手にも恵まれ、可愛らしすぎる娘役を堪能できた素敵舞台でした。
特にかなめちゃんのサリエルに死ぬほどキュンとしましたよー!
出来ればもう一度行きたかった〜!
消えたと見せかけて実は生きておりました・・・。
その間に何人か見送ってしまいましたが、ここ最近の舞台で号泣してしまったのは12月帝国劇場の「マリー・アントワネット」だったでしょうか。
今回の日記は、他の日記に書いた観劇録に多少書き加えたものになります。
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・ミュージカル・ファンタスティーク『堕天使の涙』
トップのコムちゃんこと朝海ひかるさんにとっては、最後の最後で割かせた大輪の華であったように思いました。
何しろ美しい!
透けるような金糸の髪というものを、人生ではじめて見せていただいたように思います。外人さんのどの美しい金髪を越えて美しいと思わせる様は化粧も決まってまさに堕天使の風情。なんとまあ美しいのか・・・。
正直この美しさだけで元を取れてしまった気分でした。
話としては起承転結の「結」が最後の最後で抜けてしまい、話が中途半端になってしまったことが惜しまれますが、凝りに凝った設定と舞台が全てを引き立てます。
神の愛を求め、応えない神を憎む堕天使のルシファーは、神に愛された人間を堕落させ、復讐と称してあざ笑うけれど、ふと見せる表情や問いかける言葉は子供そのもの。
姿としてはちぐはぐですが、それがかえって彼がかつて天使であったといことを感じさせる佇まいでした。そういう演出だったのかもしれません。
子供のように何故、何故と問いかける姿は、ひたむきに答えを求める利発な少年のようで、その点をこそ、神様は愛したのかもしれないなあと感じてしまいました。
そうしたルシファーの前に現れる、愛と憎しみを裏表に持っている青年ジャン=ポールと盲目の少女リリスとの出会いが、彼の道を僅かに変えていく様までは丁寧に描かれ、時折「キャッ・・・キャー!」となってしまいそうなシーンもありと、盛りだくさんの内容でした。
実はこの話、3列目のSS席で見ながら号泣してしまい、とある方にバッチリその姿を見られてしまいました。
そんな恥ずかしい思いをしてもなお、リリスの「神よ、私は全てを受け入れます」という台詞、そしてルシファーに対する「ありがとう、優しい方。こんな私に会いにきてくださるなんて・・・ありがとう」という言葉を聴いて泣かずにいるのは相当難しいことだったと信じて疑いません。
特に後者、植田先生がきっとここで感動してもらおうと思った(であろう)台詞よりも何よりも、胸に染みる言葉でした。
清らかに美しいリリスとかつて天使であった堕天使が踊る「光のパ・ドゥ・ドゥ」は永遠に心に刻まれたと思います。
美しさが何もかもを消し去る舞台でした。
・レビュー・アラベスク『タランテラ!』
良かったです。
なんというか、私はこの演出の荻田先生の作品がいつも大好きなのですけど、何が好きかというと、とにかく「歌詞」が来るのです。
特に毒蜘蛛「タランテラ(トップスターが今回全場面タランテラとして登場します)」と蝶の恋の場面は美しかった〜!
愛すれば愛するほど、蜘蛛の糸は蝶を絡めとらずにはいられない。蝶はそのことに気がつかず、知らず絡めとられて命を失ってしまう。
「抑えられず喉を鳴らす あさましさ 己の姿に恥じ入り逃げた 昨日」という歌詞にゾクゥ〜!となる私の脳が単に沸いているだけなのかもしれませんが、歌詞を見ただけで色々と想像させるというのは稀有な才能だと思います。
最後は全編蜘蛛を通しきった後、トップスターとして踊り狂う組子を見る顔が切なく美しく、良いサヨナラ公演だなあと思ったのでした。
主演のコムちゃん、毎度毎度立つ姿は素晴らしいものの声音で幾分損をしていたように思いましたが、今回はその声すらも魅力に変えてしまう熱演で、正直最後の最後で惚れそうでした。
彼女が今後どういった道に進むのかはわかりませんが、幸多いものでありますように。
また娘役トップスターのまーちゃんこと舞風りらちゃん。芸名の通り風のように舞う姿、こちらも最後の最後、素晴らしい踊りでした。
芝居では正直「全然出番足りねーよ!」と思いましたけれども、全てを払拭する清らかな笑顔を見ることが出来て嬉しく思います。
可憐で繊細で、娘役らしい娘役さんでした。どうぞこのまま、幸せな道を歩いていってくれますように。
二番手のちかちゃんこと水夏希ちゃんこと水君。
すっ・・・・てき!まさにマンガから抜け出してきたかのような、なんという劇画チックなお顔立ち!なんて素晴らしい佇まい!
その佇まい一つにひきつけられずにいられない私はまるで蟻地獄にはまってしまったようです。
暗い魅力を持つジャン=ポールがあれほどに魅力的だったのは、彼女によるところが大きいのでは。
「愛と憎しみは隣り合わせ、ではこの憎しみも愛なのか」と歌うシーンも感情の発露にぞくりとさせられました。ショーはいわずもがな素敵だった。彼女の今後の時代に心底期待しています。
そのほか私を魅了してやまないえりたん、きむちゃん、かなめ君など、素晴らしい若手にも恵まれ、可愛らしすぎる娘役を堪能できた素敵舞台でした。
特にかなめちゃんのサリエルに死ぬほどキュンとしましたよー!
出来ればもう一度行きたかった〜!
コメント
タランテラの続編、「蜘蛛女」が2007年12月に東京芸術劇場中ホールでありますね。主演「女優」はコムで、演出は荻田サンです。どうなるんだろうか?コム蜘蛛パート2。